旅の恥はかき捨て?
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村上龍 『最後の家族』より
「女性を救いたいというのは、DVの第一歩なんです。救いたいという思いは、案外簡単に暴力につながります。それは、相手を、対等な人間として見ていないからです。対等な人間関係には、救いたいというような欲求はありません。彼女は可哀相な人だ。(中略)そういう風に思うのは、他人を支配したいという欲求があるからなんです。そういう欲求がですね、ぼくがいなければ生きていけないくせに、あいつのあの態度はなんだ、という風に変わるのは時間の問題なんですよ。他人を救いたいという欲求と、支配したいという欲求は、実は同じです。そういう欲求を持つ人は、相手を救うことで、救われようとします。でも、その人自身が、心の深いところで、自分は救われるはずがないと思っている場合がほとんどなんです。自分は救われることがないという思いが、他人への依存に変わるんです」
(中略)
「おかあさんは、あなたのためにいろいろな人と話すうちに、自立したんじゃないでしょうか。親しい人の自立は、その近くにいる人を救うんです。一人で生きていけるようになること。それだけが、誰か親しい人を結果的に救うんです」
(中略)
 これからおれはどうすればいいんだ。自分に聞いた。答えは明らかだった。一人で生きていけるようになることだ。一人で生きていけるようになること。それだけが、誰か親しい人を結果的に救うんです。
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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学